ブロッコリーは冬に旬を迎える緑黄色野菜として有名です。
冬はキャベツや白菜、大根といった淡色野菜の収穫量が増え、安い価格で手に入りやすいため、食卓に濃い色の野菜が並ぶ機会が少なくなりがちです。
貴重な冬の緑黄色野菜として、ブロッコリーを頼りにしている方も多いかもしれませんね。
様々な栄養素を豊富に含むブロッコリーは、緑黄色野菜の優等生でもあります。
今回はブロッコリーから摂取できる栄養素について詳しく解説しましょう。
また記事の後半では、ブロッコリー由来のビタミンや機能性成分をより効率的に摂る方法も紹介しています。
風邪やウイルス感染で体調を崩しやすい冬の季節を元気に乗り切るため、ぜひ本記事を参考に、ブロッコリーをおいしく食事に取り入れましょう。
栄養豊富!ブロッコリーに多い成分を解説
ブロッコリーは緑黄色野菜であるため、なんとなくビタミンが豊富なイメージを持たれる方が多いかもしれませんね。
もちろんブロッコリーにはビタミン類が豊富ですが、ブロッコリーの魅力はそれだけではありません。
まずはブロッコリーから効率よく摂取できる成分と、期待できる健康効果について解説しましょう。
抗酸化ビタミン
ビタミンには様々な種類がありますが、ブロッコリーにはどの種類のビタミンが豊富なのでしょう。
緑黄色野菜であるブロッコリーには、βカロテンと呼ばれる栄養素が豊富です。
βカロテンはビタミンAのもとになる成分として機能するため、実質的にビタミンAの供給源として活用できるということになりますね。
また、ブロッコリーにはビタミンEやビタミンCも多めに含まれます。
これらビタミンA、C、Eの3種は「抗酸化ビタミン」とまとめて呼ばれることがあります。
ビタミン類の中でも、体内で発生した活性酸素の働きを抑える「抗酸化作用」を持つことで知られているのです。
私たちが毎日の活動でエネルギーを生成する際、体は酸素の消費とともに活性酸素を発生します。
過剰になった活性酸素は酸化ストレスとして、血管や皮膚、筋肉、脳組織など、体のあらゆる部位にダメージを与えてしまうのです。
活性酸素の働きを抑える抗酸化能力は私たちの体内にも備わっています。
しかし抗酸化ビタミンに代表されるような抗酸化物質を食事から摂取することで、活性酸素から体を守る効果がより期待できるでしょう。
活性酸素はあらゆる病気や老化のリスクを高めることが分かっています。
ブロッコリーから抗酸化ビタミンを積極的に取り入れて、元気で若々しい体づくりに役立てましょう。
ケルセチンやスルフォラファン
ブロッコリーに含まれる抗酸化物質は、ビタミン類のみではありません。
植物由来のポリフェノールであるケルセチンや、ファイトケミカルであるスルフォラファンといった機能性成分も、活性酸素の除去に役立つのです。
ケルセチンは玉ねぎに最も多く含まれる抗酸化物質であり、血流改善作用が強いことで知られています。
私たちは血液を介して全身に酸素や栄養素を供給しているため、疲労回復の効率を高めるには血流を良好に保つことが欠かせません。
また、スルフォラファンは自身が強い抗酸化作用を持つことに加え、体内にある抗酸化酵素を活性化させて、抗酸化能力を高める働きが確認されています。
抗酸化物質は病気や老化の予防に役立つほか、筋肉痛や肌荒れの軽減、眼精疲労の軽減にも効果を発揮すると考えられています。
これらのトラブルを予防して毎日をストレスなく過ごすためにも、ブロッコリーの抗酸化物質は活躍してくれそうですね。
たんぱく質
野菜はビタミンやミネラル、食物繊維の供給源であり、たんぱく質はほとんど含まれていないイメージを持つ方が多いのではないでしょうか。
実際にキャベツやニンジン、タマネギやピーマンといった野菜には、たんぱく質は100gあたり2g以下しか含まれていません。
しかしブロッコリーは野菜類の中でもトップクラスのたんぱく質量を誇るのです。
ブロッコリーのたんぱく質量は100gあたりなんと5.4gです。
鶏卵1個(50g)に含まれるたんぱく質は6.1g。
ブロッコリー100gと卵1個分のたんぱく質量がほぼ同じであると考えれば、ブロッコリーのたんぱく質量の多さがよく分かるのではないでしょうか。
野菜でありながら効率よくたんぱく質を摂取できるブロッコリーは、筋力トレーニングで体を鍛えたい方の食事に活躍できそうですね。
食物繊維
ブロッコリーには食物繊維も豊富です。
100gあたり水溶性食物繊維を0.9g、不溶性食物繊維を4.3g含んでいます。
厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準(2020年版)」においては、生活習慣病予防のために摂取したい「目標量」として、18~64歳の男性は1日21g以上、同年代の女性は1日18g以上が示されています。
ブロッコリー100gを食べれば、男性は1日の4分の1、女性は1日の3分の1に相当する食物繊維を摂取できる計算になります。
食物繊維の供給源としても、ブロッコリーは非常に優れていることが分かりますね。
食物繊維には便秘の改善のみならず、血糖値の上昇を緩やかにして体脂肪合成を防いだり、LDLコレステロール量を調整したり、腸内で善玉菌のエサになり腸内環境を整えたりと、様々な効果が確認されています。
食物繊維を手っ取り早く摂りたい方には、毎日のブロッコリーがおすすめです。
こんな方にこそ食べてほしい!ブロッコリーの活用例
ブロッコリーの栄養価は非常に高く、加熱すれば柔らかくなり子供や高齢者でも食べやすいため、人を選ばず広くおすすめできる野菜です。
しかし以下に当てはまる方はとくにブロッコリーの恩恵を得やすいと考えられるでしょう。
ブロッコリーの摂取をぜひ習慣化してほしい人として、例をいくつか紹介します。
一人暮らしの方
一人暮らしの方は自身の健康管理が疎かになりがち。
しかし健康管理は仕事においても学業においても、パフォーマンス維持のため非常に重要です。
一人暮らしの場合はコンビニやスーパーでの惣菜や外食などの利用頻度が高く、野菜の摂取が少ない傾向にあるようです。
栄養価の高いブロッコリーの摂取が習慣化できれば、ビタミンや食物繊維の不足を防ぎやすくなるでしょう。
ブロッコリーは耐熱容器に入れて電子レンジで加熱するだけで食べられる野菜です。
手軽に用意ができるため、自炊を苦手としている方でも摂取を続けやすいでしょう。
おすすめは朝食に100gのブロッコリーを、マヨネーズやドレッシングでいただく方法です。
朝に食物繊維が豊富なブロッコリーを食べれば、その後の血糖値の上昇を防げるため、体脂肪合成を抑える効果も期待できます。
朝食をパンやおにぎりのみで済ませていた方は、良好な体重管理のため、ぜひブロッコリーを取り入れてみましょう。
生活習慣病を予防したい方
ブロッコリーに豊富な食物繊維は、血糖値やコレステロールのコントロールに役立ちます。
糖尿病や脂質異常症を予防したい方はとくに意識して摂取したい成分と言えるでしょう。
また、同じくブロッコリーに豊富な抗酸化物質は、病気や老化の予防のために継続して摂取したい成分です。
活性酸素は血管を傷付ける性質があるため、動脈硬化を悪化させる可能性があります。
動脈硬化は放置すると心筋梗塞や脳卒中といった危険な疾患の原因となるため、血管を柔らかく健康な状態に保つためにも抗酸化物質の摂取は欠かせません。
食物繊維や抗酸化物質を効率的に摂取したい方は、ブロッコリーを積極的に食べてみましょう。
体を鍛えたい方
ブロッコリーにはたんぱく質が豊富であるため、筋力トレーニングにより体を鍛えたいと考えている方にもおすすめできる食品です。
野菜からも効率的にたんぱく質を摂取したい方は、ぜひブロッコリーを意識的に献立へ取り入れてみましょう。
なお、筋肉を合成するには、たんぱく質に含まれる必須アミノ酸のバランスが、筋肉の合成に必要な分だけバランスよく含まれている必要があります。
この必須アミノ酸のバランスは、卵や肉類などの動物性食品や、大豆を用いた豆腐や納豆などの大豆製品において優れています。
そのため、ブロッコリーのたんぱく質を筋肉の合成に活用したい方は、卵や鶏肉、豆腐など、必須アミノ酸のバランスがよい食品と組み合わせて食べるようにしましょう。
これらの食品と組み合わせることでブロッコリーの必須アミノ酸のバランスが整い、たんぱく質をより効率よく筋肉の合成に使えるようになります。
もっと優秀!?ブロッコリースプラウトの活用もおすすめ
ブロッコリーといえば「花蕾」という、蕾が集まった形が一般的です。
しかし実は発芽したばかりの状態も「ブロッコリースプラウト」としてスーパーで購入できるのです。
見た目はかいわれ大根に似ているこのブロッコリースプラウト、近年はその栄養価の高さが注目を集めています。
ブロッコリースプラウトのメリットについて確認してみましょう。
ビタミンやスルフォラファンを効率的に摂取
ブロッコリースプラウトは通常のブロッコリーに比べ、ビタミンCの含有量が高いという特徴があります。
また、ブロッコリースプラウトには加熱処理の必要がなく、生でおいしく食べられます。
茹で調理で失われやすい水溶性ビタミンや、スルフォラファンを効率よく摂取できる点もメリットと言えるでしょう。
実はスルフォラファンは、ブロッコリーにそのまま含まれる成分ではありません。
ブロッコリーをすり潰したり砕いたりといった刺激により、ブロッコリーに含まれる酵素「ミロシナーゼ」の働きが活性化することで生成されるのです。
しかし通常のブロッコリーは加熱処理しなければおいしく食べられません。
熱を加えるとミロシナーゼが活性を失うため、スルフォラファンを十分に摂取できない可能性があるのです。
その点、ブロッコリースプラウトは生で食べられるため、ミロシナーゼの活性が失われることもありません。
ビタミンCを含む水溶性ビタミンや、スルフォラファンを効率的に摂取したい方は、ぜひブロッコリースプラウトを取り入れてみましょう。
調理不要で手軽に食べられる
ブロッコリースプラウトは生で食べられる野菜です。
カイワレ大根のような苦みもないため、サラダに和えたり料理の付け合わせとして添えたりして、手軽に食べられるのもブロッコリースプラウトの魅力と言えるでしょう。
自炊の経験が少ない方にとっては、通常のブロッコリーを包丁で切り分け、耐熱容器に入れて電子レンジで加熱するという操作も億劫に感じるかもしれません。
しかしブロッコリースプラウトであれば、根本を包丁で切り落とすのみで食べられます。
コンビニやスーパーで購入した惣菜の付け合わせやアレンジとしても活用しやすいでしょう。
より手軽にブロッコリーを摂取したい場合には、ブロッコリースプラウトを試してみてもいいかもしれません。
まとめ:ブロッコリーを取り入れて病気や老化に負けない体を作ろう
ブロッコリーは様々な栄養素を豊富に含み、緑黄色野菜の優等生です。
そしてビタミン類やたんぱく質、食物繊維に機能性成分など、健康維持に役立つ様々な成分が含まれています。
一人暮らしの方、生活習慣病を予防・改善したい方、体を鍛えたい方には特に恩恵を受けやすい野菜です。
風邪やウイルス性の感染症が流行する冬の体調管理に、ぜひ積極的にブロッコリーを取り入れてみましょう。