お正月には地域で餅つきをおこなうことも多く、親戚の集まりの場でも餅をついたり、ついた餅を貰ったりすることもあるでしょう。
つきたての餅はやわらかくおいしいものの、すべてを食べきるのは難しいものです。
餅の食べ方や保存方法に悩むこともあるでしょう。
そこで本記事では余った餅を長持ちさせる保存方法や、餅を食べる際の注意点、飽きずに食べるためのアレンジ案などを解説します。
餅をカビさせずに安全に保存したい方、硬くなった餅をやわらかく食べる方法を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
多めに作った餅の適切な保存方法とは?
餅を食べきれない場合、冷蔵庫や冷凍庫などで保存することもあるでしょう。
しかし保存方法を誤るとカビが生えてしまうことも。まずは多めに作った餅を保存する際のポイントについて説明します。
焼酎を塗りカビ防止
アルコールには消毒の効果があるため、餅の表面に塗ることでカビが生えにくくなります。
アルコールといえばお酒ですが、消毒に用いる際には、アルコール度数が高めのものを選びましょう。
アルコール度数35~40度程度の焼酎をキッチンペーパーに垂らして、餅の表面を軽く拭き取るようにして塗ります。
食品や食器に使用できるタイプのアルコールスプレーも効果的です。
鏡餅のカビ防止にも活用できるため、ぜひ試してみましょう。
水に浸して冷蔵庫に
近日中に食べる予定がある場合には、水に餅を浸す方法も効果的です。
カビは酸素を取り込むことで餅の表面に広がるため、空気に触れない環境を作るとカビの発生を防ぐことができます。
水の中に細菌が繁殖しないよう、水と餅を入れた容器ごと冷蔵庫で保存しましょう。
1日に1回を目安に水を新鮮なものに取り替えることで、細菌の繁殖をより抑えられます。
保存袋に入れて餅冷凍庫へ
数日以内に食べきることが難しい場合には、冷凍保存がおすすめです。
フリーザーパックのような密閉できる保存袋に入れて、冷凍庫で保存しましょう。
また、ラップで密閉するようにして包んで冷凍すると尚良しです。
密閉が不十分な餅は水分が失われることでヒビが入ったり硬くなったりします。
解凍後の味も大きく落ちてしまうため、空気に触れないよう工夫して保存しましょう。
カビが生えた餅はすべて廃棄
餅つき機で自作した餅や、餅つき大会などで入手した餅などは、手や空気に触れる機会が多いためかカビが生えやすい傾向にあります。
保存を徹底してもカビが生える場合があるため、食べる前には入念にチェックしましょう。
カビが生えた餅は、残念ですが捨てるほかありません。餅の内部までカビが根を延ばしている場合があるためです。
表面のカビを削り取れば安心というわけではありません。カビを食べてしまわないよう、すべて廃棄しましょう。
餅を食べる際の4つのポイント
つきたての餅はやわらかくおいしいですが、時間が経つと硬くなってしまいます。
硬い餅をどう食べればよいかと悩む方もいるかもしれませんね。
ここからは餅をおいしく食べるためのポイントや、安全に食べる際の注意点などについて解説します。
硬くなった餅は水に浸して電子レンジ加熱
硬くなった餅は、水に浸して電子レンジ加熱するとやわらかくなります。
耐熱容器に解凍した餅を入れ、餅が浸かる程度の常温の水を注ぎ、電子レンジで加熱しましょう。
耐熱容器の大きさや餅の数により加熱時間が異なりますが、600Wの電子レンジで1個の餅を加熱する場合は、まず20秒で様子を見るとよいでしょう。
まだ餅が硬い場合には再度加熱し、餅がやわらかくなった段階で取り出します。
加熱しすぎると餅が溶けてドロドロになってしまうため、20秒ごとに区切って様子を見ることをおすすめします。
やわらかくなった餅は、海苔に挟んだり、味噌汁やおしるこに入れたりしておいしくいただきましょう。
焼く際には電子レンジ+オーブントースター
焼き目をつけておいしく食べたい場合には、電子レンジとオーブントースターのダブル利用がおすすめです。
まず電子レンジで20~30秒加熱し、餅をある程度やわらかくします。
餅を箸で押して中心が少しやわらかくなる程度を目安にするとよいでしょう。
少しだけやわらかくなった餅を電子レンジから取り出して、オーブントースターに並べて焼きましょう。
電子レンジである程度温めているため、餅全体がムラなくふっくらと焼き上がります。
オーブントースターのみでも餅を焼くことはできますが、全体に熱が通る前に表面が焦げすぎる可能性があります。
焼きムラや焦げには注意しましょう。
1食分の目安は?
商品にもよりますが、一般的に市販されている丸餅は30~35g、角餅は50g前後のものが多いようです。
餅は100gあたり223kcal、炭水化物は50.8gのため、丸餅を1個30g、角餅を1個50gとするとカロリーと炭水化物の量は次のように計算できるでしょう。
【食品100gあたりの栄養価(日本食品標準成分表(八訂)増補2023年より)】
カロリー | 炭水化物 | |
丸餅1個(30g) | 67kcal | 15.2g |
角餅1個(50g) | 112kcal | 25.4g |
おにぎり1個(100g) | 157kcal | 36.1g |
餅とおにぎりは同じお米から出来ているため、餅を食べる際にはお米やパンなどの主食を控えることをおすすめします。
ご飯一膳(150g)の代わりに餅を食べる場合、角餅2つが1食分として適切と考えられるでしょう。
おやつに餅を食べる場合は、200kcalに収まるよう調整しましょう。
砂糖醤油やきなこなど、味付けのカロリーを差し引いて、角餅1つ、もしくは丸餅2つまでが分量としておすすめです。
当然ながら、餅の食べ過ぎは太るもととなります。数を調整しておいしく健康的に餅を楽しみましょう。
高齢者や小さい子どもが食べる際の注意点
高齢者や小さい子どもにおいては、粘り気のある餅が喉に詰まり窒息するおそれがあります。
餅を食べる際には、次のように工夫しましょう。
• 小さく切って喉を通りやすく
• 焼き餅よりも煮た餅で
• 味噌汁やおしるこなどで水分とともに
餅を食べる際には単独での食事を避け、万が一のときに対応ができる大人とともに食べることも重要です。
咀嚼力や嚥下力が落ちている高齢者の場合は、白玉団子のような代替品の使用も検討しましょう。
余った餅はどう食べる?
余った餅を焼き餅にしたり、味噌汁やおしるこに入れたりする方法に飽きてきた方もいるかもしれません。
今回は餅のアレンジレシピとして、少し変わったものを紹介しましょう。
• おこわ
もち米の代わりに、お餅をお米にあわせて炊飯すると、もっちりとした食感を生み出せます
• パンケーキ
電子レンジでドロドロに溶かした餅をパンケーキの材料に加えて焼くと、もちもちとした食感の洋菓子になります
• おかき
餅を1cm角に切り、クッキングシートに並べて電子レンジで500W3分加熱するとサクサクの食感に変わります
おこわではサツマイモや栗を加えたり、鶏肉とともに炊飯してだしを染み込ませたりして、さまざまな味を楽しめます。
子どもと一緒にたべられるおやつを作りたい場合には、パンケーキやおかきがおすすめです。
もっちりとした食感に飽きてしまった場合でも、おかきであればスナック感覚で食べやすいでしょう。
まとめ:多彩なアレンジでお餅をおいしく安全に楽しもう
正月の時期には一度に大量に手に入れることの多い餅。
保存の際には水に浸したり冷凍庫に入れたりして、カビの発生や乾燥を防ぎましょう。
餅を飽きずに食べる方法として、おこわやパンケーキ、おかきへのアレンジもおすすめ。
喉に詰まらせないよう注意して、お餅をおいしく安全に楽しみましょう。
<参考文献>
農林水産省|正月に余った餅