オシャレな秋の果物、洋ナシの魅力!ナシとの違いや保存のコツを解説!

 

秋の味覚である日本のナシと同様に、洋ナシも秋が深まる頃に市場へと出回り始めます。

少し変わった形のナシ、というイメージを洋ナシに持つ方もいるかもしれませんが、実は洋ナシとナシは食感や味が大きく異なるのです。

本記事では洋ナシの特徴やナシとの違い、洋ナシをおいしく食べるためのアイデアについて紹介します。

秋が旬の洋ナシを楽しみたい方は、ぜひ参考にしてください。

 

 

まずは洋ナシの特徴について簡単に説明します。

 

ヨーロッパ出身だが国内でも栽培

洋ナシは西洋ナシとも言われるとおり、ヨーロッパで栽培が盛んになったものが日本に伝わる形で広まりました。

なかでも有名なものはフランスを原産とする「ラ・フランス」であり、日本で栽培される洋ナシのなかでも人気が高く、生産量が多いことでも知られています。

ひょうたんのようなくびれのある実をしたものが西洋ナシとしては一般的ですが、くびれがなくごつごつとした種類もあります。

皮の色も黄色や黄緑色、赤紫などさまざまです。

品種により味わいが異なるのはナシも洋ナシも同じ。

いくつか異なる種類のものを購入して食べ比べてみるのも楽しそうですね。

 

市場に増えるのは10月下旬から

西洋ナシも日本のナシも秋を旬としていますが、市場に出回るのは日本のナシがやや早め。

日本のナシは8月下旬からスーパーで多く見かけるようになりますが、西洋ナシが市場で増え始めるのは10月下旬。

まだ暑さの残る9月にみずみずしい日本のナシを楽しんでから、秋が深まってきたころにおいしくなるのが洋ナシ、ということですね。

 

 

洋ナシと日本のナシの違いは形だけではありません。

普段食べ慣れている日本のナシと同じ感覚で購入すると、おいしく食べられない場合があるため注意が必要です。

ここからは洋ナシと日本のナシの主な違いについて解説します。

 

食感や香り

水分量が多い日本のナシと異なり、洋ナシは水分がやや少なめです。

日本のナシのようなシャキシャキ感はなく、ねっとりとした味わいである点にも注意が必要です。

洋ナシも甘い果物ですが、日本のナシよりさらに甘みを感じやすいとも言われていますね。

 

栄養価

シャキシャキ食感でみずみずしい日本ナシと、ねっとりした食感が特徴的な西洋ナシとでは、次のような違いがあります。

【食品100gあたりの栄養素(日本食品標準成分表(八訂)増補2023年版より)】

西洋ナシ日本ナシ
カロリー48kcal38kcal
水分84.9g88.0g
糖質(単糖当量)9.2g8.3g
食物繊維1.9g0.9g

西洋ナシの方がやや高カロリーで、糖質量も多めです。

日本ナシはやはり水分量が多いようですね。

西洋ナシからは食物繊維とソルビトールを多めに摂れる点も特徴的です。

食物繊維は便秘の解消に役立つほか、糖や脂質、ナトリウムの吸収を抑える働きも確認されています。

ソルビトールはやさしい甘さを持つ糖類であり、腸での吸収率が低く、血糖値の急上昇が起こりにくい特徴があります。

血糖値の急上昇はインスリンの大量分泌を引き起こし、肥満や糖尿病のリスクを高めることも。

しかしソルビトールや食物繊維が多めの洋ナシであれば、健康上のリスクを抑えつつ甘さを楽しめるでしょう。

 

追熟

日本のナシは購入した段階ですでに食べごろになっていますが、洋ナシは購入した時点では甘さが足りず食べづらい場合があります。

洋ナシは収穫後にしばらく寝かせることで、洋ナシ特有の甘みやなめらかな食感が出てきます。

追熟により、デンプンが果糖やブドウ糖に分解されることで甘みが、食物繊維要素が不溶性から水溶性に変化することでなめらかさやねっとり感が、それぞれ生まれるとされていますね。

購入したときにまだ硬い場合は、15~20度程度の室温に置いて追熟させましょう。

 

 

洋ナシはそのまま食べてもおいしい果物ですが、料理に使用しても味わいが増し、さらに楽しく食べられます。

ここからは洋ナシの食べ方の例や保存法について解説します。

 

生で食べる場合

洋ナシは皮を剥いて食べましょう。

リンゴやナシのようにくるくると回しながら皮を剥くことが難しいため、まずは半分あるいは串切りにしてから芯を取り、皮を縦に剥く方法が一般的です。

大根の面取りの感覚でおこなうと剥きやすいでしょう。

ナシは切ってもあまり変色しませんが、洋ナシは切り口の変色が見られやすい果物です。

切ったあとは早めに食べましょう。

変色を抑えたい場合にはレモン果汁が効果的です。

 

お菓子や料理に用いる場合

なめらかな食感の洋ナシは、実をミキサーにかけてピューレにすることができます。

凍らせてシャーベットにしたり、ゼラチンと合わせてムースにしたりするとお洒落なデザートとしておいしく食べられるでしょう。

もちろん、カットした洋ナシを煮込んでコンポートにしたり、パイ生地やタルト生地にしたりする方法もあります。

料理では生ハムやローストビーフのような肉類と組み合わせることがあります。

洋ナシに含まれる「プロテアーゼ」はたんぱく質を分解する酵素。

肉と併せて食べることで、消化を助ける効果が期待できるでしょう。

 

保存する場合

もし洋ナシを大量に手に入れたり、当分洋ナシを食べる予定がなかったりする場合には冷蔵庫に入れましょう。

追熟してやわらかく、甘くなる前の洋ナシであれば、冷蔵することで長く保存できます。

乾燥しないよう新聞紙に包んでから、ポリ袋に入れて密閉しましょう。

リンゴのような追熟を早めるエチレンガスを出す果物の傍に置くと、長期保存が難しくなるため気を付けましょう。

すでに追熟して甘くなった洋ナシは冷凍保存が可能です。

洋ナシを半分に割ったものをラップで包み冷凍庫に入れましょう。

食べる時は自然解凍させ、スプーンですくうようにして食べることができます。

 

 

甘い洋ナシはそのまま食べてもお菓子や料理に用いてもおいしい果物です。

入手した段階でまだ硬い場合には、常温で追熟させるとやわらかくなり、より甘くよりなめらかな食感を楽しめるでしょう。

市場に並び始めるのは10月下旬から。

日本のナシを味わったあとの、さらなるナシの楽しみとして、ぜひ洋ナシを食卓に取り入れてみましょう。

 

<参考文献>
文部科学省 | 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年(食品成分データベース)
農研機構|セイヨウナシ「ラ・フランス」の予冷・追熟条件が果実品質に及ぼす影響

 

 

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