初夏の7月には様々な果物が店頭に並び始めます。
冷やすことで甘さが増す「果糖」を豊富に含んだ果物は、夏場の健康的なおやつやデザートとして、積極的に取り入れたい食品です。
中でも注目したいのが、皮や実の色が濃い、赤や青、紫色をした果物たちです。
果物は皮にも沢山の栄養が詰まっている、と言われますが、色の濃い果物たちには特にその特徴がはっきりと現れています。
では、濃い色の果物にはどのような栄養素が豊富なのでしょうか。本記事でご紹介していきます。
濃い色の果物に豊富な「アントシアニン」とは?
赤や青、紫といった、色の濃い果物に共通する成分は、ポリフェノールの一種である「アントシアニン」です。
この色素成分の優れた効果により、病気の予防やアンチエイジングの効果が期待できるのです。
アントシアニンは、体内で抗酸化物質として機能します。抗酸化物質は、体内で発生した活性酸素を除去するように働いてくれます。
活性酸素とは、私たちが呼吸や代謝を通して日常的に発生させている成分であり、体の免疫機能を保つために必要とされています。
しかし激しい運動や過剰なストレス、乱れた食生活などにより体に負担がかかると、活性酸素の量は増えてしまいます。
増えすぎた活性酸素は「酸化ストレス」となり、体にダメージを与えます。
これにより、白髪やシワが増える、疲れやすい体になる、といった変化が起こりやすくなります。
また、血管を傷付けて動脈硬化を促進し、生活習慣病のリスクを高めることも。
しかし抗酸化物質は活性酸素を除去し、病気や老化の原因となる酸化ストレスを減らすように働きかけてくれるのです。
アントシアニンは、そんな抗酸化物質の中でも特に作用が強力であることで知られています。
夏場には、このアントシアニンを効率的に摂取できる果物が一斉に旬を迎えます。
以下に紹介する果物たちを食べて、病気に負けない若々しい体を作りましょう。
ブルーベリー
目の健康にはブルーベリー。そんな言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
濃い青色をしたブルーベリーは、皮ごと食べられる果物の代表格です。
一般的な果物の中では、ブルーベリーのアントシアニン含有量は群を抜いて高く、効率的なアントシアニンの摂取源として、最も優れていると言えるでしょう。
アントシアニンの特徴は、その分子の小ささです。小さなアントシアニンは細い血管も通過できるため、全身で抗酸化作用を発揮してくれるのです。
目にアントシアニンが効く理由は2つあります。
一つ目、目は紫外線を直接浴びる場所であるため、酸化ストレスの影響を受けやすいこと。
二つ目に、目にはアントシアニンが得意とする、細い血管が数多く通っていること。
アントシアニンが細い血管を通って目にたくさん届くことで、十分な抗酸化作用を発揮してくれるのです。
白内障や緑内障の予防にも繋がると言われているため、将来の目の健康のためにも、ブルーベリーを積極的に食べるようにしたいですね。
ブルーベリーはそのまま食べても美味しい果物ですが、冷凍することでよりアントシアニンの恩恵を受けやすくなります。
凍らせるとブルーベリーの細胞壁が壊れ、中のアントシアニンが吸収されやすい状態になるのです。
冷凍したブルーベリーはそのままでも食べやすく、ヨーグルトなどにトッピングとして加えると紫色の色素が混ざって綺麗な色に仕上がります。
ぜひお好みの食べ方を見つけてみてください。
アメリカンチェリー
さくらんぼの旬と言えば5月頃ですが、アメリカンチェリーの旬は6~7月と言われています。
日本で収穫できるさくらんぼよりも赤色が濃く、アントシアニンをはじめとするポリフェノール類が豊富に含まれています。
アメリカンチェリーはブルーベリーと同様に皮ごと食べられるため、ポリフェノール類を逃さず摂取できます。
手軽に抗酸化物質を摂取したい場合に、特に活躍してくれそうですね。
また、チェリー類に含まれるポリフェノールの中には、抗酸化作用だけでなく、抗炎症作用を発揮するものもあります。
過剰な炎症は体にダメージを溜め込み、痛みの原因となることも。
激しい運動により引き起こされる筋肉痛は、身近な炎症の代表例です。アメリカンチェリーなどから十分な抗炎症物質を摂取することで、筋肉痛からの回復も早まるでしょう。
また、チェリー類には疲労回復効果の高いクエン酸も含まれています。
毎日少しずつ食べることで、疲労を溜め込まない体を目指してみましょう。
スモモ(プラム)
スモモの皮は薄いため、皮ごと食べることもできます。
皮を剥いて食べれば柔らかい食感をより楽しめますが、アントシアニンを効率的に摂取したい場合には、中の種だけ取り除いて皮つきのまま食べてみましょう。
スモモにも、疲労回復効果の高い成分が含まれています。
アミノ酸の一種である「アスパラギン酸」には、エネルギー代謝を助ける働きがあります。
エネルギーを作り出すための「クエン酸回路」と呼ばれる代謝経路を効率よく回すことで、疲労物質である乳酸を溜め込まないようにしてくれるのです。
クエン酸回路の効率化には、アスパラギン酸の他にも、カリウムやマグネシウムといったミネラルが必要です。
スモモからはこれらのミネラル類も摂取できるため、より高い疲労回復効果が得られるのです。
なお、プラムは冷凍保存も可能です。凍らせることによりアントシアニンの吸収率が上がり、アイスの感覚で食べることもできるため、夏場のおやつとして是非味わってみてください。
イチジク
初夏に旬を迎えるイチジクは、皮だけでなく実も赤いため、皮を剥いて食べても十分なアントシアニンを摂取できます。
もちろん、皮にもアントシアニンが豊富ですが、イチジクの皮には細かい毛が生えており、皮を剥かずに食べるというのは少々難しいかもしれませんね。
よく熟したイチジクであれば、皮も十分に柔らかくなっているため、皮ごとでも比較的食べやすいかもしれません。
完熟のイチジクを手に取る機会があれば、是非よく洗ってから食べてみてください。
また、イチジクにはたんぱく質分解酵素である「フィシン」が含まれています。
イチジクを収穫した際、茎の部分から白い液体が出てくるのですが、フィシンはこの乳汁に含まれています。
フィシンはたんぱく質の分解を促進するため、肉類などの消化をサポートするように働いてくれます。
さらに、イチジクにはデンプンの消化酵素であるアミラーゼや、脂質の消化酵素であるリパーゼも含まれています。
食事のタイミングでイチジクを食べると、これらの消化酵素の働きにより胃腸の負担を軽減でき、胃もたれなどを防止する効果が期待できるでしょう。
1日200gを目安に、果物を取り入れよう!
今回は夏の果物から摂取したい成分であるアントシアニンを豊富に含む夏の果物を紹介しました。
来たる暑い夏に備えて、是非この機会に、色の濃い果物たちを楽しんでみてください。
もちろん、ここで紹介した以外の果物も、ビタミンCやカリウム、食物繊維の供給源として優秀です。
食べ過ぎによるカロリーオーバーを防ぐため、1日200gを摂取の目安として楽しみましょう。
一般的なスモモであれば4~5個、イチジクであれば2個ほどで200gの摂取となります。
デザートやおやつに取り入れて、老化や病気に負けない体を目指しましょう!