ちりめんじゃこでお馴染みの「しらす」ですが、実は春を旬としていることはあまり知られていないのではないでしょうか。
本記事では季節を問わずに食べられる、しらすの特徴や栄養価、春を旬とする「春しらす」の食べ方などについて解説します。
本記事でしらすについてよく知り、春のしらすをぜひおいしくいただきましょう。
しらすってどんな魚?
小魚としてよく知られているしらすですが、実は「しらす」という魚があるわけではありません。
まずはしらすの特徴について解説しましょう。
魚の稚魚の総称
魚の稚魚の総称として「しらす」の名前が使われています。
特定の魚を指すものではなく、アユやイワシ、ウナギやニシン、イカナゴなど、しらすの成魚となるものはさまざまです。
しかし一般的にしらすといえば、やはりイワシの稚魚を食べることになるでしょう。
最もメジャーなしらすはカタクチイワシの稚魚ですが、マイワシやウルメイワシの稚魚もしらすとして出回っています。
スーパーでしらすを見かけた際には、魚の種類をぜひチェックしてみましょう。
さまざまな「しらす」
魚の稚魚である「しらす」はさまざまな方法で加工されています。しらすの調理法や加工品には主に次のようなものがあります。
• 生しらす
• 釜揚げしらす
• しらす干し
• ちりめんじゃこ
生しらすとは、しらすを生きたまま調味料にくぐらせて食べるものです。
いわゆる「踊り食い」にあたるものですね。苦手とする方も多いものの、しらすを最も新鮮な形で味わえる方法として親しまれています。
塩茹でしたものは釜上げしらす、塩茹で後に半乾燥品にしたものはしらす干しと呼ばれます。
しらす干しの水分量は50~85%程度ですが、さらに乾燥させてちりめんじゃこになると、水分量は30~50%程度になります。
灰色で硬い食感のちりめんじゃこは、保存性も高いため多くの家庭で食べられています。
しらすの栄養価と期待できる効果とは?
しらすは魚の稚魚を丸ごと食べるため、魚の切り身とはまた栄養価が異なります。
しらすの栄養や期待できる健康効果について解説しましょう。
カルシウムとビタミンDで骨を丈夫に
しらすからはカルシウムやビタミンDを効率よく摂取できます。
それぞれのしらす製品のカルシウムとビタミンDの含有量は次のとおりです。
<食品100g中の栄養素(日本食品標準成分表(八訂)増補2023年より)>
カルシウム | ビタミンD | |
しらす(生) | 210mg | 6.7μg |
釜上げしらす | 190mg | 4.2μg |
しらす干し(微乾燥品) | 280mg | 12.0μg |
しらす干し(半乾燥品) | 520mg | 61.0μg |
カルシウムは乳製品や小魚から効率よく摂取できる栄養素であり、骨を丈夫に保つために重要な栄養素です。
魚の骨に多く含まれるため、サーモンやブリのような切り身の魚からはあまり摂取できません。
シシャモやワカサギにはカルシウムが豊富ですが、骨の硬さが気になり食べづらく感じる場合もあるでしょう。
しかし魚の稚魚のしらすであれば、骨の硬さを感じず食べられます。
柔らかい食品から効率的にたんぱく質を摂りたい場合の選択肢としておすすめです。
ビタミンDは魚類やきのこから効率よく摂取できる栄養素で、カルシウムの吸収率を高める働きがあります。
カルシウムが豊富なしらすから同時に摂ることで、より骨の健康をサポートする効果が期待できるでしょう。
乳製品を苦手とする子どもや、牛乳を飲むと乳糖不耐症によりお腹が緩くなる方は、カルシウムやビタミンDの補給源として、ぜひしらすを取り入れましょう。
高たんぱく低脂質で減量のサポートにも
しらすは魚類のなかでも高たんぱく低脂質な食品であり、ダイエットにも適しています。
<食品100g中の栄養素(日本食品標準成分表(八訂)増補2023年より)>
エネルギー | たんぱく質 | 脂質 | |
しらす(生) | 67kcal | 15.0g | 1.3g |
釜上げしらす | 84kcal | 17.6g | 1.7g |
しらす干し (微乾燥品) | 113kcal | 24.5g | 2.1g |
しらす干し (半乾燥品) | 187kcal | 40.5g | 3.5g |
効率よく体重を落とすためには、筋肉を維持しながら体脂肪を減らす必要があります。
たんぱく質は筋肉を合成するために欠かせない栄養素であるため、ダイエットの成功にはたんぱく質の摂取が欠かせません。
しかし、肉や卵、大豆製品のような高たんぱく質食品は、たんぱく質と同時に脂質を含むものが多く、カロリーも増えやすい特徴があります。
しらすを活用すればたんぱく質を十分に取りつつ、脂質を抑えて低カロリーの食事にできるでしょう。
手軽にプラス!しらすの食べ方
しらすは1匹あたり2cm程度と非常に小さいため、ほかの魚のようにメインディッシュとして用いることは難しいかもしれません。
しかしほかの料理や主食に混ぜて栄養価を高めるための「ちょい足し」食品として最適です。
ここからはしらすの活用法について解説しましょう。
混ぜご飯やおにぎりに
しらすと主食であるお米を混ぜると、しらすの塩気がご飯に馴染み、おいしく食べられます。
ひじきやニンジンなど、ほかの食材とあわせて炊き込みご飯にしたり、白米に混ぜておにぎりにしたりするとおいしく食べられるでしょう。
おにぎりにする際は、握った表面からしらすがこぼれる可能性があるため、トースターやフライパンで焼きおにぎりにして表面を固める方法がおすすめです。
酢の物や和え物に
やわらかい釜上げしらすは酢の物や和え物に使用するとおいしく食べられます。
ワカメやキュウリ、小松菜やちくわ、ごまなどと相性がよいため、しらすとあわせて好みの調味料で味付けしましょう。
卵料理に混ぜて
しらすは卵とも相性のよい食品です。
しらすは小さいため炒め物にすると、ほかの食材から取りこぼされてしまい食べづらいデメリットがあります。
しかし卵でとじるようにすれば小さなしらすをまとめられるため、食べやすくなるでしょう。
卵液に混ぜて卵焼きにしたり、ほかの食材とともに卵で閉じて煮たりする方法がおすすめです。
料理のたんぱく質を強化する手段として、ぜひ活用してみましょう。
春しらすは「しらす丼」がおすすめ!
4~5月にとれるしらすは「春しらす」と呼ばれ、ほかの時期のしらすより甘みが強い特徴があります。
適度な脂と柔らかい食感で、よりおいしく食べられるでしょう。
春しらすをおいしく味わう方法として、海苔やネギや大葉とともに白米の上にたっぷりとのせ、上から卵や醤油をかけて食べる「しらす丼」をおすすめします。
釜上げしらすのやわらかさと透き通った色を存分に楽しめる、この時期のみの贅沢です。
新鮮なしらすが手に入った際には、ぜひしらす丼として食べてみましょう。
まとめ:料理にしらすをプラスしておいしく栄養価アップ
しらすはたんぱく質やカルシウム、ビタミンDの供給源として優れた魚です。
さまざまな料理への「ちょい足し」食品として活用すれば、食事の栄養価を大きく上げられるでしょう。
4~5月の春しらすは甘みがあり、より食べやすい味わいです。
新鮮なものを手に入れた際には、ぜひ炊き立てのお米とあわせて、やわらかいものをおいしくいただきましょう。